人参は値段も安定しているし、どんな料理でもちょっとした色彩を加えてくれる、使い勝手のいい野菜です。ほぼ必ず冷蔵庫にある家庭も、少なくないでしょう。
我が家では煮物などにしても喜んで食べてくれますが、人参のスティックが大人気です。でも、人参は生だと消化に良くない、でも下痢にいいとも聞きます。
また、気になるのは、ビタミンを破壊すると聞いたことがあるのですが…という人も少なくないはず。
生の人参、特にスティックは、食べやすいし歯ごたえが好きなんですよね。今はすごくあまくて、フルーツのような品種もあります。やっぱり、生でも人参、食べたいですよね。
では、ここからは、本当に人参は生食OKか、まとめます!
人参の基本情報!
お菓子の代わりにダイエット目的で、生の人参スティックを食べる人もいます。私の以前の仕事のパートナーも、おやつに人参をかじっていました。
カロリーは、100gで54kcalほどと、スナック菓子などのおやつを食べるよりもカロリーが低いし、歯ごたえがあるので満腹感もあります。
カロチンが豊富に含まれていて、美肌効果、目にもいいのです。また、1982年のアメリカの研究では、がんの予防にもいいと報告されています。
カロリー的には、人参を毎日1~2本食べても、食べ過ぎにはなりません。
人参の生食は下痢にいい、は本当だった!
「人参のすりおろしたものは、下痢を止めたい時にいい」と言うのは、本当なのです。でも、ここでポイントは、「すりおろしたもの」ということ。そのままのスティックのような生食だと、なんと逆に、消化不良で下痢になってしまうのです。
それでも、適量であれば、だいたいの人は平気でしょう。でも、消化器官があまり強くない人や病み上がりの人、風邪をひいている人などは、人参の生食は避けた方がいいですよ。
人参はビタミンを破壊する、は嘘だった!!
もうひとつのウワサは、人参はビタミンを破壊するという話です。
これは、人参に含まれる酸化酵素:アスコルビナーゼがビタミンCを破壊するというウワサでした。
これは、近年までは、そう信じられていたのです。でも今は、そうでないことが判明しています。
人参の酸化酵素:アスコルビナーゼは、カラダの中でビタミンCを、還元型と酸化型に変化させます。以前は、この還元型ビタミンCを酸化ビタミンCは吸収のされ方が違うとして、区別していました。そこから、人参はビタミンCを破壊するといわれていたようです。
しかし今では、「還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCのビタミンC効力は人体内では同等である」とされています。
その証拠に「四訂食品成分表」からは、ビタミンCは、還元型と酸化型を合わせた総量=総ビタミンCをビタミンC量として示しています。
人参の生食は栄養価が高いわけではない?!
ついでに、人参についてのウワサ「人参のビタミンCは、熱に弱い」、これも間違いだったのです。ビタミンCが加熱に弱いから、生で人参を食べていた人もいるのではないでしょうか?
ただ、ビタミンCは水溶性のビタミンなので、茹でるとお湯の中にビタミンが溶けてしまいます。
でも、人参に含まれるカロチンは、生で食べるより、茹でたり、油で調理したりした方が、効率よく吸収できるのです。カロチンは油に溶けやすいので、油で炒めて食べると生食の時のより、1.5倍超のカロチンを吸収できるのです!
カロチンで言えば、「人参の生食<茹でた人参<油で炒めた人参」となるのです。
うーん…人参は、適量1~2本なら生食OKでビタミンCも取れる!!ということがわかったけど、カロチンは他の調理法より極端に摂取量が減ると言えますね。
こうなると、人参の生食の食感を優先するか、カロチンの摂取を優先して炒めるか…難しいところです。
まとめ
- 人参は、100gで54kcal、1日の適量は1~2本。
- 「人参のすりおろしたものは、下痢を止めたい時にいい」は、本当。
- 「生食だと、なんと逆に、消化不良で下痢になってしまう」!!
- 「人参はビタミンを破壊する」は間違い。
- 「人参のビタミンCは、熱に弱い」も間違い。
- 「人参に含まれるカロチンは、生で食べるより、茹でたり、油で調理したりした方が、効率よく吸収できる」という事実。
人参をピーラーで薄すめにスライスして、温めたオイルをかけたホットサラダにして食べるようにしようかと考えましたが…それでは、生食の食感がなくなってしまいますね、やっぱり。でも、生食はOKだから、やはり人参はスティックで楽しみます!