お菓子の袋の裏側、「原材料名」の欄で見かけることのある、「シェラック」なるもの。
耳慣れない名前だけれど、食品添加物として使われるらしい。
食品添加物って、「危険だ」「無い方が良い」と言っている人も多いけれど、「シュラック」も無い方が良いものなの? 身体に害は無いの?
口に入るものだから、なあなあでは済ませたくない問題ですね。
シェラックとは、どんなもの?
シュラックの主な用途は、お菓子の表面をツルツルに仕上げるコーティング剤。赤い色をしていて、食紅、染料、化粧品にも使われます。
特に食用の添加物としては、手に溶けにくいチョコレートや、錠剤の表面を整えるのに使われます。
シュラックの正体は、蝋と樹脂が混ざったもの。
園芸家にはお馴染の厄介者、植物の樹液を吸う「カイガラムシ」という虫の一種が、身を守るために分泌する、天然のコーティング剤です。
一生を植物に張り付いて暮らす虫で、食べ物は植物の樹液のみ。
なので、シュラックは蝋(←虫由来)と樹脂(←植物由来)、それから、天敵を遠ざけるための赤い色、というわけです。
「虫」と聞いて、嫌な気分になる方もいると思います。
けれど、シュラックはあくまで「虫の分泌物」であり、虫本体は取り除かれています。
絹やハチミツや蜜蝋と同じ類のもの、と捉えれば、「便利なら仕方無い」という気分になります。
(なお、日本で見かけるカイガラムシは可愛い見た目をしていますが、
シュラックを分泌する「ラックカイガラムシ」はとても可愛くない見た目です。画像検索は止めましょう。)
健康面での危険は無いの?
虫の分泌物って、毒は無いの? 人が食べても平気なの?
その疑問はごもっともです。
申し訳ないのですが、シュラックの主成分「シェロリン酸」「アロイリチン酸」等などの物質がどんなものか、
どんな理屈で安全と言えるのか、私には解説できません。
化学の専門家、あるいはシェラックの精製をしている企業に、じっくりお話を伺わなければなりません。
ただ、日本の法律上、シェラックは安全で有能な成分であると定義されています。
たくさんの企業が、シェラックの樹脂成分を生成したり、使いやすく加工する技術を開発しています。
医薬品のコーティング剤に使われている、ということは、「シェラックを使用した錠剤を使った人体実験が済んでいる」ということでもあります。
また、アメリカでも、安全な食品添加物としてよく使われています。
シェラックは、特に染料・楽器のコーティング剤として、古くから利用されてきました。
これまでの歴史の中で、シェラックが原因で病気になった、という事例はありません。
化学の素人としては、これらの情報から、慣例的に信頼できる、と申し上げるしかありません。
シェラックに関する法律と規格
シュラックが安全な添加物である、と定めている法律・規格は、以下の通りです。
・日本工業規格(JIS規格)
製品の成分・安全性などを保証する規格。JISの規格に合う製品は「JISマーク」をつけている。
・日本薬局方
医薬品の規格基準を定める法律。
・日本化粧品原料基準
化粧品に使ってはいけない成分を指定している。(シェラックは禁止指定外)
・食品衛生法
食品添加物に使っても良い成分を指定している。
添加物の正体は・・・色々
一口に「添加物」と言っても、その正体は色々です。
ペットボトル入りのお茶に含まれる食品添加物「酸化防止剤(ビタミンC)」は、サプリメントでお馴染のビタミンCそのもの。
一方で、着色料の「青色一号」のような、安全面に疑いが持たれる食品添加物もあります。
添加物、という言葉は、物語の主役に対する「脇役」の肩書と同じもの。脇役には、良い奴も居れば悪い奴も居ます。
法律で許可されている以上、一応は全て安全(量を摂り過ぎなければ問題ない)とされているので、じっくり調べながら向き合っていきましょう。
まとめ
・シェラックとは、チョコなどの表面を整えるコーティング剤。
・錠剤のコーティング、食品の着色、布の染料、化粧品にも使われている。
・主成分は蝋と樹脂。植物に寄生する虫の分泌物。
・日本の法律や規格で「安全なもの」と定められており、アメリカなど諸外国でも食品添加物としてよく利用されている。
・シェラックは、古くから利用されているが、健康被害の実例は無い。
・一口に食品添加物と言っても、その正体は様々。一つ一つ向き合おう。