社会人になって初めにぶつかる、「経営の用語」という壁。
上司がしかめっつらで「今期の~利益が」とスピーチしているけれど、なんのことやらサッパリ、という若者は多いものです。
うかうかしているうちに、後輩に質問される立場になると、さあ大変。
正しく意味を教えてあげられなければ、先輩の沽券に関わります。
似たような言葉が多いので、とっさに「あれ、どっちがどうだっけ?」と、混乱してしまうことも。
あなたは、正しく説明できる自信がありますか?
営業利益とは
本業で得た利益に、必要な経費を差し引いて得た利益のこと。
「本業」とは、普通に、「農家さんが野菜を売って得たお金」程度の意味。
うちの会社は手広くやってるから、何が本業か……。なんて悩むほどの深い意味は無く、「手広くやっている」その全て、と考えていて大丈夫です。
ここから差し引かれる「経費」とは、会社のビルの家賃・修繕費、工場機器の購入費といった「ハード面」にかかるお金や、社員全員の給料、光熱費などの「ソフト面」にかかるお金など、全てを含みます。
接待費が経費で落ちる会社なら、もちろん、接待費も含まれます。
ちなみに、「本業以外での無い利益」とは何か、というと、「会社が持っていた土地を売って得た利益」「事業を他社に売却して得た利益」などが、それに当たります。
経常利益とは
上で説明した、営業利益から、本業以外での収益を加味して残ったのが、経常利益。
本業以外での収益とは、これも上で説明しましたね。自社の不動産を売ったり、事業を売却したりして得たお金です。
純利益とは
経常利益から、一時的な損失や利益を加味し、 そして、支払う税金を引いた、最終的な利益。
会社が得る、実際の利益、とも言えます。
純利益の金額が、来期にすぐ使える資金、経営の余裕、ということになります。
「利益」と呼ぶ言葉の中で、初めて、「損失」「税金」という言葉が出て来ましたね。
得られた物を全部足して、引くべき物も全部引いた結果が、純利益。
直近の成果、会社の現状を示すものとして、特に「当期純利益」を指して言うことが多いです。
「当期」が、四半期のことか、半年分のことか、一年間のことか、その辺は会社によって変わるので、上司に確認しましょうね。
「損失」とは、業務上生じたロス。
生産工場なら、不良品ができたり、材料をこぼして無駄にしたロス。
商社なら、契約が途中解除になったり、手違いを起こして賠償を求められたり……。
「税金」とは、企業自身にかけられる税金を指します。
まず、法人税。
小売業なら、売上に応じた消費税を納めますし、輸入業者なら商品に関税がかけられています。
そのほか、業種によって、様々な税金がかかることでしょう。
売上、年商とは
会社の経営に関わる言葉で、「売上」「年商」も、よく聞く言葉です。
「利益」と「売上」の違いを、確認しておきましょう。
「売上」は、学園祭の出店でも使う、身近な言葉ですね。
企業の収入額のみを指す言葉で、一日~一カ月ほどの、短期間の収入を言うときに、使います。
「年商」は、一年間の売上を指します。
上二つと、「利益」との大きな違いは、「「利益」は経費を差し引いている」ことです。
例えば、「バッタを一匹、倒した」という結果(売上)があるとします。
立派な成果ですが、たくさんのアリが頑張ってやっつけたのか、カマキリが一瞬で仕留めたのかでは、労働力も、かかる時間も、大違いです。
「たくさんのアリでゆっくりバッタを倒した」利益と、
「カマキリが一瞬でバッタを仕留めた」利益では、
カマキリの方が儲けていますね。
「売上」「年商」は、得たものの規模を示すだけ。
それが「儲けている」か「儲かっていない」かは、「利益」を見なければ、分かりません。
まとめ
・「営業利益」は、本業の収入から経費を差し引いたもの。
・手広く商売している会社でも、「手広い商売」全てが「本業」扱いと考えて良い。
・経費とは、会社のビル、機器、人件費、光熱費などを全て含む。
・「経常利益」は、営業利益に、本業以外の収益を加味したもの。
・本業以外の収益とは、会社の不動産を売ったり、事業を売って得たお金など。
・「純利益」は、経常利益から、一時的な損失・利益、税金を差し引いたもの。最終的な利益。
・大ざっぱ|営業利益>経常利益>純利益|詳しい
・「売上」「年商」は、経費を差し引かない、収入そのままの額。商売の規模のみを示す。