ピエロの涙の理由って知ってる?深くて切ない3つの説をご紹介

実家のリビングで、家族でうだうだと映画を見ていた時のこと。

その映画に出てきたピエロには、涙がありませんでした。

「ピエロって涙あるよね? 涙ないのって、ピエロなの?」から始まり、「ピエロのあの涙の理由って知ってる?」となりました。

なんと、3人いて3人が語ったピエロの涙の理由は全て違った!

どれが本当のピエロの涙の理由なのでしょうか…

ピエロの涙の理由①目の見えない少女

いつもの街角で、ピエロの恰好でパントマイムを披露する少年がいました。その街角で、とても美しい花売りの少女に出会いました。雪のように白い肌に長い髪のその花売りの少女は、目が見えないのです。

ピエロは彼女に恋をし、彼女もいつも人を笑わせているピエロに恋をしました。そして、2人は一緒に暮らし始めたのです。

ある日、少女は言いました「あなたの顔が見てみたい」と。

ピエロは、「君の眼は僕が治してあげる」と約束をしました。

ピエロは必死に働き、少女の目の手術費用を用意しました。そのお金で少女は手術を受け、無事に成功しました。看護師さんに渡された手鏡の中に、初めて自分の美しい姿を見たのです。少女は病室で、目が見えるようにしてくれたピエロに会うのを楽しみに待っていました。

そこにやってきた仕事帰りのピエロは…汚れた作業着を着た貧しい男だったのです。

「あなたのおかげで、目が見えるようになったわ。ありがとう。」というと、涙を流したのです。

翌日、少女は退院し、ピエロと暮らしている部屋に戻ったのです。

少女が初めて目にした2人で暮らしている部屋は、薄暗くて何もない質素な部屋だったのです。

ピエロは、少女の顔に失望が走ったのを見逃しませんでした…。

ピエロが再び街角に戻った時、いつもの真っ白な顔に大きな口は変わりありませんでしたが、観客の少年は気がつきました。

「ピエロさん、なぜ泣いているの?」

以来、ピエロはその涙を書いたまま、観客を笑わせ続けました。

ピエロの涙の理由③息子を思うピエロ

ある国、有名なピエロがいました。遠くからこのピエロを目当てに来る人が大勢いるほどの人気です。

ある日、そんなピエロに王様から招きがありました。お城で来賓のために演技をしてほしいと。ピエロはサーカス小屋のメンバーをお城にいくことになりました。

そんな大切な王様の前でのサーカスの日、病にかかった息子に命の危険が迫っていました。ピエロは悩みました。大切な一人息子が苦しむ日にまで、仕事を優先すべきか…。

そんな父親であるピエロの様子をみた息子は言いました。

「パパの素晴らしい演技を王様は楽しみにしているから、僕はいいから行ってきて。僕もパパの演技が大好き。王様もみんなもパパを待ってるんだよ。」そんな息子の言葉に後押しされ、ピエロはお城にむかったのです。

息子が危険な状態にある日にでも、演技を続けるピエロに「こんな日にも演技を優先するほど名声がほしいのか!」と非難の声がメンバーからも上がりました。それでもピエロは演技を続け、お客さんを笑わせ続けました。

すると、他のメンバーがピエロに耳打ちしました。

「息子さんが息を引き取られました…」

それでもピエロは、息子が大好きだと言ってくれた演技を続け、笑いを取り続けました。しかし、顔は笑顔で、体はおもしろおかしく演技を続けますが、涙が止まらなくなってしまいました。

その後、ピエロは演技中に泣いてしまったことを後悔し、2度と演技はしませんでした。

人々はピエロを惜しみ称える意味で、後世のピエロのメイクには涙を書き足すようになりました。

ピエロの涙の理由3本物のフランスの有名役者

19世紀のフランスでは、体制批判をする出し物やセリフに対しての取り締まりが厳しい時でした。そのような社会的背景が、ピエロを生んだと言われています。

弾劾を逃れるために、芝居などはセリフがいらないパントマイムが好まれていました。ピエロは、そんな時代のフランスの演劇に出てくるクラウン(道化師)の役名でした。

実在の役者、バチスト・ドビュローが演じたクラウン役ピエロが、かなりの評判と人気が出ました。

そんなバチストでも舞台を降りる時が来ます。引退講演では、大拍手が鳴りやみません。

すると、ピエロ役の時には一言も発したことのないバチストが、感激のあまり声を出して、涙を流したのでした。

その涙がピエロの涙になったと言われています。バチストのように上手くピエロを演じる事がことができるように願って書かれた涙なんですね。

まとめ

さて、みなさんはどの説をご存知でしたか? また、どれが一番有力だと思いますか?

  1. 貧しいピエロの少年の、目の見えない少女への思いの涙
  2. 人気ピエロの亡くなった息子への涙
  3. 実在の名役者バチストの引退の時の涙

バチストをモデルにしたフランス映画「天井桟敷の人々」というのがあります。3番目のピエロの涙の理由を映画にしたものではありませんが、作品の中で主人公バチストが演技のさなかに涙を流すシーンがあります。実在のバチストの涙もこんな感じだったのかな?と思うほど、印象的なシーンです。

一般的には、実在の役者の名が出る3番目の説が最有力と言われています。

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