先日、ある手続きのために市役所にいきました。市役所は改装工事中で、至るところに立て看板があって、歩きにくい。
立て看板の中には、長々と文章が書かれたものがあったのですが、「関係各位」とあり、あ…なんとなくお役所っぽい言葉だな。と思ったりしていました。
その後の手続きでは、注意書きが1枚渡されたのですが、今度はそこに「関係者各位」とあります。
そういえば「関係者各位」と「関係各位」って、何か違いがあって使い分けてるのかしら?
それとも立て看板はスペースが狭いから、「者」を省略しちゃった?
どっちかが間違いなのでしょうか?
「各位」とは?
改まった文章ではよく見る「○○各位」のはじまり。市役所などの官庁やお堅い会社で使われているイメージがあります。
関係する人が複数で、皆さんの名前を羅列できないときに使うのが「各位」になります。意味としては、“○○の皆様”といったところです。
「各位」は敬称のひとつなので、呼びかける人達への敬意、「様」と同じ意味が含まれています。だから、目上の人に対してでも使える言葉なのです。
私としては、「○○各位」というのは、目上から目下に向けて呼びかける時の言葉だと思っていたので、ちょっと意外な感じがしました。お堅い人が使う言葉だというイメージだから、そう思ってたのかも。
「関係者各位」と「関係各位」、どちらでもOK
「各位」は敬称なので、「様」と同じ敬意がすでに含まれています。
「関係様」とは言いません。「関係者様」の方が自然ですが、「関係各位」も一般的に使われる表現で、読んだ人は違和感を持たないのが普通です。だから、どちらを使ってもいいとされています。
「各位」は「様」相当なのを忘れずに。
「各位」を丁寧な表現にしようとして、「○○様各位」としてしまうのは間違いです。二重敬語のような表現になってしまいます。また、より丁寧にしようと思って「各位様」とするのも、同じ理由で間違いです。
各位に様をつけてまで丁寧にしたいと考えるのであれば、それぞれに「○○様」と宛名を書いて渡すか出すかすべき状況なのではないでしょうか?
大切なビジネスでは、細かなことでも敬意や配慮を表すために、手間をかけなければいけないことや場面もあります。
「お客様各位」は正しい?
各位と様を一緒に使わないはずですが、「お客様各位」という書き出しはよく目にすることがあります。「ご担当者様各位」というのも目にすることがあります。
これらは、厳密にいえば二重敬語にあたります。しかし、通例として使われている表現なので、さほどの違和感を持たないのも事実です。
「ご担当者各位」とすると「ご」がついているのに「様」がない違和感が際立っているし、「お客各位」に至っては、逆に間違いに見えます。
一般的には、「ご担当者様各位」も「お客様各位」も正しい使い方の許容範囲内となっています。
「○○の皆様」に置き換えがいい時もある?
しかし、ご担当者にしてもお客様にしても、相手は顧客ということになります。
今の「各位」の使い方としては許容範囲なだけで、間違いと言えば間違い。人によっては、違和感を持つ人もいるということになります。
その後の内容が重要な謝罪の場合には、「○○様各位」は使わない方が無難だと思います。どうしても「各位」の言葉を使わないといけない場面はないはずです。
だったら、本来、「○○様各位」は間違った使い方なので、「○○の皆様」とした方がベターです。「各位」は受け取る相手によっては、古い響きの言葉でもあります。
言葉は、相手がどう受け取るかが重要で、それを大切にしないと自分の気持ちが正しく伝わらないことがあります。
まとめ
何気なく使っていたり、目にしたりしている「各位」にも、ちゃんとこんな意味や使い方があるのです。
自分が文章を作成する時、「各位」を使うなら、それを目にする人が多いという意味です。
正しい使い方をしないと恥ずかしいですね。
まとめると…
- 「各位」は敬称のひとつであり、複数の相手に対して使う。
- 「○○各位」=「○○の皆様」の意味合いになる。
- 「関係者各位」の方が正しい使い方だが、「関係各位」も一般化した表現なので、どちらも使える。
- 「各位様」の表現は、二重敬語にあたるので間違い。
- 「ご担当者様各位」「お客様各位」は一般化しているので、許容範囲内。
- 謝罪の場合には、「お客様の皆様」に置き換えるのがベター。
日本語には、「お客様各位」に限らず、一般化されたつつある表現だから、本来は間違いでも今はOKという表現も多いですよね。誰が目にするか、どんな状況化をよく考えて使いましょう!