寒いとつい街中の自動販売機で温かいドリンクを買いたくなってしまいますよね。
大体の自販機で買うペットボトルドリンク相場は160円なのでこんなものだろうと買ってしまいますが、
人気キャラクターがいる観光地などへいくと1本250円というマジカルな価格だったりします。
他に買える場所がないのでしぶしぶ払っている方も多いのではないでしょうか。
その一方で最近は、自販機ごとに価格が違ったり、100円以下の「激安自販機」を見かけることも多くなりました。
なんで自販機ごとであんなに値段が違うのでしょう?
このモヤモヤを解消すべく、その謎を追いかけてみました。
自販機ビジネスのからくり
まず、飲料自販機のビジネスモデルについて整理してみましょう。
基本的には、飲料メーカーが適当な場所を借りて自社の自販機を設置するのですが、その仕組みによってタイプが分かれます。
<フルオペレーションタイプ>
土地の所有者は場所を貸すだけで、メーカーが自販機の設置からメンテナンス、商品の補充などを行う。
土地所有者は電気代を負担することになるが、売り上げの20%ほどを手数料として受け取ることができる。
<セミオペレーションタイプ>
オーナーが自販機の本体をリースもしくは購入し、商品の仕入れから補充まですべて自分で行うシステム。
自販機自体は業者から買う、または借りるという方法で用意ができます。
フルオペで運営する場合、販売業者との契約上最低価格の縛りがあるので、
大体どこも同じような価格相場になっています。
また自販機ごとにすべて価格が違うと紛らわしいということもあり、
大手メーカーの自販機は一律価格が適用されているようです。
現在、日本ではフルオペレーションタイプが主流のシステムとなっています。
1本当たりのマージンは約20円ほどで、電気代が月額3000〜5000円ほどかかるため、
1日15本以上は売れないと、オーナーにとってはあまり利益がありません。
一方、セミオペレーションタイプは手間やランニングコストはかかりますが、
粗利はすべて自分の儲けとなるので、稼ぎたいのであれば、セミオペのほうが効率がいいようです。
また、セミオペの場合は販売価格もオーナーが自由に決められるため、
安く仕入れることができれば、それだけ価格を下げることもできます。
ディスカウントショップの激安商品や賞味期限間近の放出品などを仕入れれば、安く売ることが可能になります。
格安自販機はセミオペレーションタイプの自販機なのか?
これまで、手書きで「50円」「10円」といった激安の値札が掲げられている自販機は、ほぼこのセミオペ系の自販機でした。
しかし、最近はフルオペでも激安価格で販売する業者が登場しているのです。
激安自販機が急増している背景には、そうした業者の存在がありました。
こういった業者が安値で販売できる秘密は、
メーカーの品質に劣らない自社ブランドのPB(プライベートブランド)商品を開発していること。
また、大手メーカーの商品でも、大量一括購入による仕入れ価格の交渉や、
過剰在庫や賞味期限の短い商品を購入することで、通常より安い販売を可能にしています。
PB商品の開発・直売システムと、業者ならではの交渉力で仕入れた安価な商品の供給という、
フルオペとセミオペのいいとこ取りのようなビジネスモデルを展開することで。現在こういった激安自販機は設置台数を急激に伸ばしています。
観光地のドリンクが高いのはなぜ?
普通の道路にある自販機で買えば120円で買えるジュースが、遊園地では250円だったり、ホテルで買うと160円したり。
相場より割高な場合がありますね。それは一体なぜなのでしょうか。
市街地にある自販機との違い
地理的に物流にコストがかかる場所に自販機を設置する場合、それだけ「設置料」が割高になります。
自販機がたくさんある市街地では、1台のトラックでぐるぐる巡回し輸送コストを分散できますが、
周囲に他の自販機がない観光地の場合は、その一台の自販機のためだけに輸送トラックを走らせないとなりません。
設置料だけではなく、自販機をメンテナンスする維持費もかかります。
高地などでは気温の影響で温めるのにより維持費がかかるので販売価格が割高になってくるわけです。
また、市街地などに置かれた自販機は365日24時間営業しますが、
観光地は営業時間や営業する期間などで限られた季節・時間にしか集客が見込めません。
ホテルなども、一般の方の購入はなく、宿泊者限定の購入しかありません。
営業が出来る期間、時間、人数に制限があるから割高になっているのです。
まとめ
観光地で喉が乾いて自販機のドリンクを購入する時は、いつも「殿様商売だな〜」とその割高さに辟易していました。
しかしこうやって割高である理由を調べていくと、単に利益のためではなく、その価格設定にしなければいけない背景があることがわかりました。
また自販機界でもPBブランドの開発など、激しい競争に勝ち抜くための戦略があることがわかりました。
安い、高いの基準で物事を判断しがちですが、
その価格設定の理由がわかれば、自分の価値観にそった買い物ができ、納得して購入できますね。