平均律と純正律のちがいとは?【わかりやすく解説!】

 

音楽をやっている方は一度は耳にしたことのある平均律と純正律。でもその違いって説明できるでしょうか?

音楽をやっていない方も、映画化もされた小説「羊と鋼の森」で出てきて言葉だけご存知かもしれません。

この記事では平均律と純正律ついて音楽素人の方にもわかりやすくご説明しようと思います!

平均律、純正律って何を表しているの?

そもそも、〇〇律ってなに?

少し物理のお話になりますが・・・

まず、音は空気の振動です。音の高低は空気どれくらい振動するかで決まります。

1秒間に空気がたくさん振動するほど高い音、あまり振動しないと低い音になります。

1秒間にどれくらい振動するか?はHz(ヘルツ)という単位で表され、1秒間に1回振動する場合は1Hzです。

ピアノのト音記号の五線譜上にある「ラ」の音(オーケストラのチューニングで使われる音)は一般的に440Hzです。厳密にいうと、「ラ」の音が440Hzになるようにチューナーや音叉などを使って楽器を調整しています。これはクラシック音楽界共通の前提と思っていただいて結構です。

「ラ」以外の音階「ドレミファソ()シド」にもそれぞれ〇〇Hzといった固有の数字があります。ですが、「ラ」の音以外、つまり「ド」の音は必ずXX Hz, 「レ」の音は必ずYY Hz・・・といったように決まっているわけではないのです。

基準の音のHzは決まっていても、他の音のHzを一概に決められるわけではない、ここがポイントです。

基準の音のHzから他の音のHzをどう決めるか、それが音律です。

平均律、純正律は音律の種類ということになります。

平均律とは?

平均律は簡単にいうとオクターブ(ドレミファソラシド)をきれいに12等分する音律です。

多くのピアノの調律はこの平均律で行われます。

平均律のいいところは、すべての音が等間隔なので転調しても違和感がないことです(例えば、「ドレミファソラシド」を聞いても「ファソラシ♭ドレミファ」を聞いても同じ音階として聞こえ、違和感を感じません)。

厳密にいうと、半音上がるごとに212乗根(12乗したら2になる数です。高校数学を勉強した方ならピンとくるはず・・・)をかけていくのですが、数学嫌いの方のために今回は割愛します。

さて、ここでひとつ大事なポイントがあります。

2つの音があるとき、それらの音の高さを表すHzが、整数比の音同士のときはきれいに重なりますが、

例えば「3.141592倍」など無限に続く小数倍のときはきれいに重なりません。

ここでいう「きれいに重なる」とは、音の「うなり」が聞こえないということです。逆に、「きれいに重ならない」場合、2つの音を同時に鳴らすと微かに「ウヮン、ウヮン」という音の「うなり」が聞こえます。

この平均律の最大の欠点は、2音がオクターブ離れるまで2音のHzが整数比にならないことです。
つまり、オクターブの音(例えば低い「ラ」と高い「ラ」)こそきれいに重なるものの、
それ以外の音同士(例えば「ラ」と「レ」)はきれいに重ならないのです。
なぜなら、オクターブ離れるまで2音の比率は無理数:無理数だからです(高校で数学を勉強しなかった方、すみません)

では、きれいに重なるように音階を決めるにはどうしたらいいのか?

そこで次に純正律をご説明します。

純正律とは?

純正律は簡単にいうと音同士のHzが整数比になるように音階を決める音律です。

整数比なので音が重なったときにうなりがなくきれいに聞こえます。

バイオリンなどの弦楽器では、演奏者は基準の「ラ」の音のみチューナーや音叉でチューニングし、
その他の弦は「ラ」の音と重ねて弾いてきれいに重なるように耳で合わせます。
つまり、弦楽器は純正律でチューニングしているということになります。

純正律の欠点は、転調を行うと違和感を感じることです。
例えば、「ラ」の音を基準にしてチューニングした楽器の「らしど#れみふぁ##ら」と
「ドレミファソラシド」はなんだか雰囲気が違うように感じます。

それは、隣の音同士の感覚が均一ではないためです。

平均律と純正律の比較

原理がなんとなくわかったところで、平均律と純正律のHzを比較してみましょう。

下の表は平均律と「ラ」を基準にした純正律です。

確かに、平均律では低い「ラ」と高い「ラ」だけ整数比(ちょうど2倍)、純正律はだいたいどこをとっても整数比となることがわかります。

 

音名

平均律

純正律

 

 ラ(低)

 440   Hz

 440   Hz

 

 シ

 493.88  Hz

 495   Hz

 

 ド# 

 554.37  Hz

 550   Hz

 

 れ

 587.33  Hz

 586.67  Hz

 

 ミ

 659.25  Hz

 660   Hz

 

 ファ#

 739.99  Hz

 733.33  Hz

 

 ソ# 

 830.61  Hz

 825   Hz

 

 ラ(高)

 880   Hz

 880   Hz

まとめ

ざっくりまとめるとこんな感じです。

・平均律と純正律は音律の一種

・音律とは基準になる音から他の音のHzを決めるときの決め方

・平均律は違和感なく転調ができるがオクターブ以外の音が厳密にはきれいに重ならない

・純正律はオクターブ以外の音もきれいに重なるがチューニングしたときのベースの調性以外へ転調すると違和感を感じる

・ピアノの調律は平均律、弦楽器のチューニングは純正律

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