「ざわめく」と「ざわめきたつ」の違いをご存知ですか?
私は今までその2つの言葉を特に使い分けることをしていませんでした。
ふと気になって調べたところ、とても勉強になり、日本語の奥深さを改めて知ることができました。
そこで今回は「ざわめく」と「ざわめきたつ」の違い、意味そして使い方をまとめておきたいと思います。
「ざわめく」の意味と使い方
まずは「ざわめく」の意味について。
家にあった小学館の「ポケットプログレッシブ国語辞典」で調べてみました。
すると、「間断なく物音や話し声がする」「ざわざわする」とありました。
「ざわざわ」というのは擬声語で、音を真似て作った言葉です。
その言葉を動詞にしたのが、「ざわめく」なんですね。
「ざわめく」の使い方の例としては、
「彼の発表に会場がざわめいた」
「彼女の声を聞いたら、ざわめいた心が徐々に落ち着きを取り戻していった」
「ざわめく人々を掻き分けて、僕らはようやくその場所にたどり着いた」
「観客がざわめいたものの、その俳優は何事もなかったように演じ続けいた」
などがありますね。
落ち着かない様子をあらわすときに使うことが多いようです。
例えば「彼の愛の告白に心がざわめいた」なんて言ってしまうと、
「うれしくてドキドキする」ではなく、
素直に受け取れない何かを秘めているような表現になってしまいますね。
「ざわめく」と似た言葉に、「どよめく」や「ざわつく」などもあり、
これらもやはり、明るい話題の時には使用しない気がします。
■「ざわめきたつ」の意味と使い方
「ざわめきたつ」は「ざわめく」と「立つ」が組み合わさった言葉ですね。
その2つの言葉にはどんな意味の違いがあるのだろうと、もう一度同じ辞典で調べてみました。
ところが、「ざわめきたつ」については記載がありませんでした。
では、「たつ」だけで調べたみたらどうなるのでしょう?
「立つ」はたくさんの意味がありますが、「ざわめく」との組み合わせでは、
「現れる」「生じる」「始まる」「広がる」あたりの意味がふさわしそうです。
どうやら「たつ」がつくと、ある何もない、または静かな状態から、それとは反対の状態へ変わる
といった雰囲気の意味がありそうです。何か勢いがつく感じもしますね。
「ざわめきたつ」の使い方の例は、
「突然の雷雨に鳥達がざわめきたつ」
「強い風が吹き、森がざわめきたつ」
「ざわめきたった木々の揺れる音に、不安を掻きたてられた」
などがあります。「たつ」がつく場合でも、やはり不穏な雰囲気があることにはかわりませんね。
■「ざわめく」と「ざわめきたつ」の違いは?
大きな違いはないものの、「ざわめく」はモノや人、
「ざわめきたつ」は自然現象を表現するときに適しているように思えます。
ただ、
「突然の彼女の死のしらせを聞き、その場にいた人々がざわめきたった」
「彼のスピーチが始まると、ざわめきたった聴衆が静かになった」
「ざわめく動物たちの様子から、飼育員はいつもと違う何かを感じ取った」
「曇天の下で竹林がざわめく」
といったように、「ざわめく」を自然現象を表現する際に、
「ざわめきたつ」をモノや人の表現に入れ替えて使用しても、特段おかしいようには聞こえませんね。
まとめ
日本語って難しいですね…。
まとめると、
①「ざわめく」はざわざわする様子
②「ざわめく」に勢いや動きがつくこと
③2つの言葉に大きな違いはないが、ざわめく」はモノや人、「ざわめきたつ」は自然現象に使用することが多い?
ということになりそうです。
明確な意味の違いがないぶん、余計に使い分けが難しい気もします。
けれども、「ざわめきたつ」を使うほうが、少し詩的なイメージもあるかも?
結局は好みの問題で使い分ければいいのかと思いました。