すでに江戸時代の食卓に並んでいたというししとう。当時、日本で栽培されていたのは南米原産のししとうで、現在、食べられているものに比べるととても辛かったそう。
明治期以降、ヨーロッパ経由で辛味が弱い品たねが持ち込まれたこと、さらに現在にかけてまで品種改良が重ねられた結果、最近ではそうそう突拍子もなく辛いししとうにあたることもなくなりました。
私もししとうが好きで、シーズンになって手頃な価格でスーパーに並ぶようになると、よく買います。魚焼きグリルにアルミホイルを敷いて、少し多めに油を垂らして、ちょっと焦げ目がつくまで焼いてから、塩コショウを振って食べることが多いです。
でもこのししとう、たねもまるごと調理して食べる人もいれば、たねを取りのぞいてから食べる人もいるそう。
ししとうのたね、あなたは食べますか?
ししとうのたねは食べたほうがいいのか、とってしまったほうがいいのか。
今回はその理由から、たねが持つ知られざる効果まで、詳しくご紹介します!
ししとうのたねは、そもそも食べても平気?
南米原産のトウガラシには「辛味種」と「甘味種」があります。
「辛味種」はハバネロやタバスコ、韓国トウガラシなどの、辛い品種のトウガラシです。
「甘味種」は辛味種に比べると、強い辛さがない品種にあたり、ししとう、ピーマンなどがあげられます。
トウガラシ科の甘味種に分類されるししとうとピーマン。
ピーマンはたねをとってから使うのだから、ししとうだってたねをとらなければいけないのでは?
いいえ、そんなことはありません!
ピーマンのたねにも、ししとうのたねにも、たとえばじゃがいもの芽のように、悪い成分が入っているわけではありません。
ピーマンのたねも、ししとうのたねも食べることができます。
ただ、ピーマンのたねは大きいので、食感が不快だったり、消化がされにくいため、調理のさいにはとってしまいます。
ししとうのたねはごく小さいものですから、あまり食感は気になりませんし、消化不良を起こすこともありません。
ししとうのたねは、辛さの原因?
たまにすごく辛いししとうってありますよね?
ししとうは皮ではなく、たねが辛い……などという話もあります。
乾燥や高温、水不足などのストレスを受けて育つと、ししとうは辛味成分のカプサイシンを生成してしまいます。
形がいびつなもの、小ぶりなもの、中にたねが少ないものは辛みが強いことがあります。
つまり、ストレスを受けたししとうは、たねも当然辛いですし、皮やへたの付近まで、全体にカプサイシンが多く含まれていて辛いんです。
一般に、トウガラシの辛味「カプサイシン」はたねで作られると言われますが、実はカプサイシンはたねがついている部分にさらに内側の胎座というところで作られます。
たねに違いので、たねが辛いと思われてしまうのです。
やがて胎座で作られたカプサイシンが、皮に付着し、トウガラシの果実全体が辛くなっていきます。
生育しすぎて大きくなったししとうにも辛いものがあるのは、このメカニズムによるものなのです。
ししとうのたねには栄養がたくさん!
実はししとうは、果肉部分に比べ、たねの方にたくさんの栄養がつまっています。
βカロチン、ビタミンC、カリウム、ナイアシン、カプサイシン、クロロフィル、ビタミンP、食物繊維などの栄養素が、たねに凝縮されているんです!
βカロチンやビタミンCには、強い抗酸化成分がふくまれています。
細胞の老化を防ぐ働きがあるので、アンチエイジングに効果があります。
このビタミンCには、免疫機能を高め、疲労回復の効果もあります。
カリウムはむくみの解消に効果的です。
ナイアシンには食事として摂取した糖質や脂質の代謝を促す作用、カプサイシンには脂肪を燃焼させる作用があり、ダイエット効果が期待できます。
クロロフィルはコレステロールを体外に排出する働きがあるため、コレステロールの数値が気になる方におすすめです。
ビタミンPは、ビタミンCの働きを促進させてくれる効果があります。
食物繊維には胃腸を整え、便秘の改善を解消する働きがあります。
ししとうにはこんなにたくさんの栄養素が含まれています。
たねごと食べて、より多くの栄養をとりたいですね。
ししとうの保存方法をご紹介
ししとうは乾燥しないようにポリ袋に入れて密封しましょう。
そして野菜室で保存します。
また、ししとうは3、4日で使い切りましょう。
成熟が進んで辛くなってしまったり、たねが痛んで黒くなってしまいます!
まとめ
- ししとうのたねは、食べても体に害はありません
- ししとうの辛さの原因はストレス。そして、たねの内側の「胎座」が辛さのもと。
- ししとうは栄養豊富。果肉部分よりも、たねに栄養がつまってる!
- ししとうは乾燥を防いで密閉、野菜室で保存しましょう。時間がたつと、辛くなったり、たねが黒くなったりします!
いかがでしたか?
ししとうのたねには、栄養がたくさん凝縮されていたんです!
私も、積極的にししとうを食べようと、天ぷらにしてみたり、お酒としょうゆで味付けをして、じゃこと一緒に炒めてみたり、ししとうレパートリーを増やしています!
江戸時代から、日本人は色々と工夫をして、ししとうを食べてきました。
とくに日本食には、ししとうがよく合います。
あなたも、おいしく調理して、美容にも健康にもいいししとうをたくさん摂取してみてはいかがでしょう?
あなたもぜひ、ししとうをおいしく料理して、たくさん栄養を摂取してください!