私が育った北海道では、冬の寒い日の夜、その辺の立ち木から「ばきっ」とか「ぱんっ」、時には「ずどん」と響くような音がしていました。祖母は「寒くて木が泣いている」と表現していましたが、木が寒さで凍結して、歪んだり、亀裂が入ったり、避けたりする音だったんです。
それを思い出したのは、我が家の家鳴り。はじめは近くに立ち木はないし、何の音かわからず、怪奇現象!?と思ったのですが。夜中の変な音は怖いですよね。築5年以上続いた家鳴りでしたが、これかも!という原因がわかって、だいぶ気にならなくなりましたよ。
意外と多くの人が驚かされる家鳴りについて、実際のところなんなのか、原因、対策までご紹介します。
家鳴りの原因とは?
「パキッ」とか「ピシッ」とか破裂音のような音がする家鳴り。一般的には築浅の木造住宅に多い現象と言われていますが、鉄筋コンクリートでできたマンションでもあるようです。
昔話では、妖怪がいたずらをして家を揺らすから家鳴りがすると言われていたそう。でも、今はちゃんと原因がいくつかわかっています。
①建材同士が馴染んでいく時の音。
新築木造住宅に多い家鳴りです。組み合わされた建材同士がまだしっかり馴染んでいなかったのが、ある程度の時間を経過して馴染みあう=動いた時の音。収まるべきところに収まったので、悪いことではありません。
②建材が乾燥して縮んだ、または形が変わった時の音。
新築~築5年くらいまでの木造住宅に多いと言われる家鳴りです。建てたばかりの家の建材や建築の時に使われた接着剤は、まだ完全に乾ききっていない場合もあります。それらが乾燥した時に、若干ずれてしまう、形が変わってしまう時の音、もしくは、それらによって建材が動いた音です。中には、築10年くらい続くこともあるとのこと。
この家鳴りは、目に見える時があります。木の合わせ目に隙間ができたり、貼ってあるクロスに歪みや隙間ができたりすることがあります。
③気温や湿気の差で、建材の縮小/膨張で動いた時の音。
季節によってだけでなく、昼と夜での差で起こることもあります。私が北海道で体験した立ち木が凍ってしまう現象のように、建材に含まれている水分が凍ってしまうこともあり得ます。これは木造住宅だけでなく、鉄骨コンクリート住宅でも材質や構造によって、起こりえることです。
④重い家具やピアノが1か所にかたまった配置の歪み、ずれによる建材からの音。
これは意外と盲点ではないかと思うのですが、食器棚、本棚、ピアノなど重い家具が同じ位置にかたまっていると、歪み、ずれの原因になります。家具の配置では、1階のことと2階のこと、同じ階でも壁を挟んでのこちら側とあちら側など同時に考えることは少ないですよね。
⑤排水溝、通風孔の位置関係で変に反響する音。
これは、マンションの場合に多いです。真上、斜め上の音が反響したり、何かの音だけ響いてきたり。この場合は短い破裂音だけでなく、人の話し声や足音が聞こえる時もあるので、まずはよく聞いてみたほうがいいですよ。
⑥地震での歪み、ずれによる建材からの音。
地震があった後に、急に家鳴りが気になりだしたのなら、地震による歪み、ずれの可能性もあります。人が動いた時、どこか特定のドアの開閉をした時など、振動が歪み、ずれに伝わって、建材が擦れあった音の場合もあります。
⑦地震の前兆。
これは、実際に報告されているけど、まだメカニズムは解明されていない家鳴り。ですが、大地震の前には、人が感じない地震や地殻変動が観測されているのは事実なので、歪みやずれの原因になっているのか、振動そのものなのか…。普段はない家鳴りが聞こえたとしたら、地震の可能性も考えて、地震対策をするのもいいのかも知れません。
家鳴りの対策は?
①②③についての対策
新築または築浅の場合は、ある程度は仕方がないというあきらめも肝心。他には…
・外気温と室内温度の差が大きくならないようにコントロールする。
・室内湿度を60%くらいに保つ。
乾燥への対策をとると、効果的だと思われます。
④は、家具の配置を見直してみてください。
⑤は、原因によっては管理会社に相談してみる、音の原因となっているところへ何かしらの働きかけをしてみるのもひとつの手ですね。
⑥⑦については、耐震対策か、程度によっては補修や修理が必要かも知れません。
まとめ
始めは驚きばかりですが、家鳴りには原因があるので、それを知るだけでもスッキリできるかもしれないし、対策をとれば軽減されるますよ。
家鳴りの原因は…
- 建材同士が馴染んでいく時の音。
- 建材が乾燥して縮んだ、または形が変わった時の音。
- 気温や湿気の差で、建材の縮小/膨張で動いた時の音。
- 重い家具やピアノが1か所にかたまった配置の歪み、ずれによる建材からの音。
- 排水溝、通風孔の位置関係で変に反響する音。
- 地震での歪み、ずれによる建材からの音。
- 地震の前兆。
その対策は…
- あきらめも肝心。
- 外気温と室内温度の差が大きくならないようにコントロールする。
- 室内湿度を60%くらいに保つ。
- 家具の配置を見直す。
- 耐震対策か、程度によっては補修や修理が必要。
これで原因不明の家が出す破裂音や真夜中の音に驚かなくてもすみますよ!
ここに該当がなければ…まさかの…ラップ音!?