暖房器具の定番、湯たんぽ。金属製の容器にお湯を入れるのが一般的ですが、
最近は、レンジで温めるものなど、色々な種類の湯たんぽがありますね。
形は様々ですが、使い方は、デスクワーク中に足元で使ったり、眠るときに布団に入れて使うことが多いと思います。
ノスタルジックで馴染み深い半面、老人ホームなどでは、「湯たんぽ使用禁止」という施設もあるとか。
湯たんぽを使うリスクって、何でしょうか?
準備不足&油断で低温火傷に
湯たんぽを使用したときの事故で最も多いのが、「低温火傷」。
低温火傷とは、44℃から50℃ほどの「ちょっと熱い」程度のものに長時間触れることで、生じる火傷のことです。
水ぶくれになって化膿しやすかったり、治っても跡が残りやすいのが厄介です。
高温のものに触れてしまったときは、脊髄反射で手を引っ込めることができますが、
低温火傷の場合は「無意識に除けるほどではない熱さ」でジワジワ焼かれていくのが、問題となります。
特に就寝中に布団の中に入れることが多い、湯たんぽ。
起きている間は、「さすがにちょっと熱いかな」と自覚できても、
睡眠中はそうもいかないものです。首を寝違えるのに似ていますね。
熱さが伝わりすぎないように、湯たんぽを厳重に布でくるんでも、
寝ている内に布がほどけて、丁度50℃に冷めた頃合いの湯たんぽが剥き出し……なんてケースもあります。
あまりにも元気な寝相だと、湯たんぽのフタが外れて熱湯が漏れる、という事態もありえます。
また、高齢者は皮膚感覚が鈍いため、起きていても熱さに気付かず、
低温火傷になってしまうことがあります。
身体が不自由で、自力では湯たんぽを除けられないことも。
赤ちゃんも、月齢が幼いと、「湯たんぽに触っていること」と
「身体が熱い・火傷が痛いこと」を結び付けられず、自力で対処することができません。
年齢によっては、就寝中に湯たんぽを使うのはとても危ないのです。
ちょっと珍しいケースですが、冷めた湯たんぽを直接火にかけて事故になる場合も。
お湯を入れ替えず、フタをしたまま火にかけると、内側に蒸気が充満して、湯たんぽが破裂してしまいます。
使用上の注意をよく読んで、正しい温め方を心がけましょう。
湯たんぽは、古くからあるローテクな道具です。
馴染みの道具だからと甘く見ないで、慎重な運用が求められます。
湯たんぽは間接的に温まるもの、と心得るべし
湯たんぽを安全に使うには、「湯たんぽに直接触れない」ことを徹底することです。
湯たんぽをくるむ布は、綿ファスナーなどを使った留め具をつけて、寝相が悪くてもほどけないようにすること。
また、熱くなったら、すぐ除けられるようなポジションに置くこと。ベッドの柵と身体の隙間を避けて、すぐに布団から蹴り出せるような場所に置きます。
また、高齢者や子供などには、湯たんぽを「持たせる」のは避けたほうが良いでしょう。
就寝前の布団を温めるのに使い、人間が布団に入るときは湯たんぽは出す、といった使い方が理想的です。
昼間は、ペットボトルなど、お湯が冷めやすい容器に、少しぬるめたお湯を入れて持たせる、というのも一つの手です。低温火傷になるほどの長時間、熱が保たれるのが問題なので、10分ほどで冷めてしまうように調整すれば良いのです。
もちろん、お湯が冷めきれば寒いので、頃合いを見て気にかけてあげて下さいね。
基本的には利点の方が多い
低温火傷にさえ気をつければ、湯たんぽは良いところばかりの暖房器具です。
ストーブのように「点けっぱなしで火事になる」ということもありませんし、人間単体をピンポイントで温めるので、光熱費がかからず、エコロジーです。
お風呂と同じく身体をじんわり温めて、血行を良くするのに最適と言われ、特に、湯たんぽをお腹に当てれば内臓の調子が良くなるとか。
安全に使いこなして、寒さを乗り切りたいものです。
まとめ
・湯たんぽは低温火傷が起こる。
・反射神経が働いて、無意識に除けるほどでもない温度で、ジワジワ火傷するのが、低温火傷。
・湯たんぽでの低温火傷は、就寝中の事故や、高齢者が罹ることが多い。
・湯たんぽは、布にくるんで、ほどけないように工夫する。留め具のあるフタをつけると良い。
・予め布団を温めておき、就寝するときは、湯たんぽは出す。直接持たない。
・湯たんぽが冷めやすいように工夫して、長時間使わない。
・湯たんぽは身体に良い面も多い。