ヒハツ由来ピペリンとは? 血圧を下げるって本当?根拠は?

「ヒハツ由来ピペリン」という健康食品があるらしい。
そう聞いて調べてみたら、大手製薬会社の「ヒハツ由来ピペリン」入り商品を見つけました。

健康食品って、効果の怪しいものの方が多いイメージだけれど、大手の製薬会社が出しているなら、大丈夫なのかな?

でも「医薬品」じゃなくて「栄養機能性食品」って書いてある……。
製薬会社の商品だけど、薬ではないの?

ただの食べ物なら、健康に良いとは限らないのかな?

そんな真面目な疑問にお答えするべく、化学と法律の観点から解説します。

ピペリンとは

ピペリンとは、コショウにも含まれている辛味成分。

「辛みを感じる」だけではなく、人間の身体に影響を及ぼす機能があります。

それが、「血圧を下げる」機能。

「ピペリンに血圧を下げる効果がある」という情報自体は、
論文も出ており、確かなものと考えて良さそうです。

ヒハツとは

ヒハツとは植物の名前で、コショウの仲間。コショウとは少し違う、独特の辛味があるそうです。

日本では馴染みの無いものですが、東南アジアでは、スパイスとして利用されています。

コショウも含まれている「ピペリン」。
お仲間のヒハツにも含まれているので、ピペリンの健康食品の原材料として、よく利用されているようです。

なぜコショウではなくヒハツを使うのか、
他の植物ではダメなのかは、たぶん、調達コストや抽出方法の都合なのでしょう。

コショウに含まれるピペリンと、ヒハツに含まれるピペリンに、
機能の違いは見つかっていませんので、消費者としては、大した違いでは無さそうです。

栄養機能性食品とは

栄養機能性食品、とは、消費者庁が定めた、健康食品の表示の一つ。

消費者庁が定めたものの仲間に、「特定保健用食品(トクホ)」があります。
こちらはヨーグルト等によくついている、背伸びをした人間のマークの、あれです。

健康食品の宣伝には、「○○しなくなる機能が報告されている」「○○が改善する栄養素と言われる」といった言い方が多いですよね。

ハッキリキッパリ「○○が改善する」と宣伝できるのは、法律上医薬品にしか認められていません。

”身体の不調を改善するために、摂るもの”

医薬品とは、それ以上でも以下でもないもの、と定められています。
効果の無いものが「薬」として処方されないように、薬での事故を防ぐために、定められた大事な法律です。

そのため、医薬品の製造・販売には、特別な免許や個別の審査が必要です。
「普段の暮らしにプラスワン」なんて気軽な商品に、「医薬品」の肩書を付けるものではありません。

薬以外で、口にするものは、全て「食品」とカテゴライズされます。
ビタミンやミネラルのサプリメントも「医薬品(医薬部外品)」ではなく、「食品」として販売されています。

近年の科学の進歩により、
ビタミン・ミネラルなどを毎日欠かさず摂ることは、健康な体作りに重要であることが分かっています。

「不調を治すためのものではない」から「病気を防ぐ」と宣伝することは許されない。

でも確実に必要な栄養なのは分かっている。どうしよう?

……という食品業界の不満を解消するために考案されたのが、
「特定保健用食品」と「栄養機能性食品」の肩書です。

「特定保健用食品」は、企業が「その商品を使った人体のデータ」を取り、消費者庁が審査の上で認定します。

企業がデータを取ったときと同じ条件で、特定保健用食品を食べ続ければ、宣伝通りの効果があるはずです。

「栄養機能性食品」は、それより格下の肩書き。

企業が、その商品に含まれている「栄養素の健康機能」のデータで、消費者庁に申請するものです。

栄養素の健康機能自体は、認められているものの、
「その企業の、その商品」に同じだけの期待ができるかどうかは、保障されません。

車にガソリンを入れて、エンジンをかけてみたけど、混ぜ物がしてあったみたいで燃費が悪い……。

そういうリスクがありますが、まあ、
「ガソリンかガソリンでないか」で言えば、ガソリンですよ。爆発するわけじゃないし。

そんなイメージでいて下さい。

実際、栄養機能性食品には、「これ単体で健康になると言ってはいけない。バランスの良い食生活を勧めなければいけない」という制約があります。
栄養機能性食品のチラシをよく見ると、小さな字で書いてあります。

特定保健用食品の認定を受けるには、企業が学者さんを雇って、長期の実験プロジェクトを行わなければなりません。
そこまでの資本を持たない企業は、特定保健用食品の認定を受けるのは諦めて、「栄養機能性食品」で販売していくしかありません。

耳当たりの良い宣伝文句ばかり並べて、
偽物の肩書をつけて売るような健康食品よりは、「消費者庁の監督のもと、販売する」誠意があります。

まとめ

・ヒハツ由来ピペリンとは、「コショウの仲間からコショウの辛味成分抽出した」という意味。

・ピペリンには、血圧を下げる効果がある。

・「栄養機能性食品」は、「特定保健用食品(トクホ)」の格下の肩書き。消費者庁による。

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