佐藤さとるさんの「コロボックルシリーズ」、読んだことはありますか?
読んだことがない人でも、小人の話だということはなんとなく知っているのでは。
そう、このお話には「コロボックル」という小さな小人が登場します。
でもこのコロボックル、実は佐藤さとるさんのお話の中だけの存在ではありません。
北海道に実在した種族であるという説もあるんです。
コロボックルとはどんな種族なのか?
本当に存在したのか?おとぎ話や伝説だけの存在なのか?
コロボックルの謎に迫ってみました。
コロポックルという名前の由来
コロボックルはアイヌの人々の間で広まった、伝説の小人種族です。
ローマ字表記をすると、koropokkur。「コロポックル」ですね。
korはフキの葉、pokは~の下、kurが人。
コロポックルはアイヌ語で、「フキの葉の下の人」という意味になります。
フキの葉を傘にする姿は、まさに私たちの想像する小人そのもの。
ですがアイヌ語だということは、「コロポックル」は世界的な存在ではないということ。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」のホビットとは、全く別の存在なんですね。
コロポックルという種族
コロポックルと聞くと、身長5~10センチくらいの小人をイメージしませんか?
ですが、アイヌ族と物々交換をしていたという話があります。
物々交換が成り立っていたと考えると、コロポックルはそんなに小さくはなさそうです。
気になったので調べてみましたが、背丈は赤ん坊くらいだったとか。
コロポックルは動きが素早く、漁が得意な種族だったと言われています。
アイヌの人たちとは、狩った獣肉や魚を物々交換していました。
人に姿を見せることを極端に嫌ったため、物々交換は夜中、それも姿を見せずに手だけを差し出す形式だったようです。
コロポックルの行方
どうして現在コロポックルの姿を見ないのか、これにも伝説があります。
ある日アイヌの若者がコロポックルと物々交換をしているとき、コロポックルの姿を見てやろうと画策します。
若者は交換する品を差し出すために小屋の中に入れられたコロポックルの手をつかんで、中に引っ張り込みました。
そのコロポックルは背丈の小さい美しい女性だったのですが、若者の無礼な行動に激怒。
この事件が原因となって、コロポックル一族は北の海の彼方へと姿を消したのだとか。
その後、コロポックルの姿を見たものはいません。
また、コロポックルはアイヌよりも前に十勝に住んでいたとも言われています。
ある日突然やって来たアイヌ族に住居を荒らされるようになり、争いになりました。
その戦いでコロポックルは全滅してしまったのだという説も。
今でも北海道の芽室町には、コロポックルとアイヌが戦ったとされる古戦場跡が残っています。
ちなみに、コロポックルが北に姿を消すとき、争いで追い詰められたときに残した「水は枯れて、魚は腐ってしまえ!」という呪いの言葉、「トカップチ」。
これが現在の十勝の名前の由来だと言われています。
コロポックル実在説
残念ながらコロポックルの存在は、現在まで確認されていません。
1886年、ある学者が札幌周辺に残る竪穴式住居の跡がコロボックルの住居であったという説を発表しています。
アイヌの女性には手の甲に刺青を入れる風習がありましたが、これはコロポックルの風習を真似したものだという説も。
多くの研究者が意見を述べたこの「コロポックル論争」は、1913年まで続きました。
ですがコロポックルの存在については、いまだ謎のままです。
まとめ
・コロポックルはアイヌ語で「フキの葉の下の人」
・赤ん坊くらいの背丈の、漁の得意な種族であった
・コロポックルは北の彼方に姿を消した
・多くの学者が討論したが、存在は謎のまま
謎の多いコロポックル、信じるか信じないかはあなた次第。
骨や化石が発掘されれば、真実が解明されるかもしれません。
でもやっぱり伝説は謎のままのほうが、夢があるような気がしませんか?