宅配便の受け取りや、役場での手続き、回覧板の確認など、たびたび出会う「はんこ下さい」の一言。
ただ「はんこ」と言っても、実は様々な種類があるんです。
普段使い用から、パスポートと同じくらい大事な実印まで、正しく使い分けている自信はありますか?
はんこを購入する際の注意点や、使い分けの心得をまとめました。
印鑑の形に注目
「印鑑」とは、はんこを押した痕のこと。
「サラリーマンは右に傾けるべき」とか「かすれてはいけない」とか、仕上がり命のアレのことです。
書類にはんこを押すのは、書類を作成した人・確認した人が「本人である」ことを証明するためのものです。
普段、あなた自身が
「相手の印鑑は本物か?」
「ニセモノを押して、誤魔化しているんじゃないか?」
なんて、疑ってかかることは無いでしょう。
しかし今回は試しに、手近な印鑑を疑って見て下さい。
まず、その印鑑に、文字を丸く囲む「外枠」はありますか?
外枠が無い場合、おそらく、オモチャ用のスタンプを押されています。
第二に、枠線や文字の線は、太さが一定ですか?
はんこの一部に力が偏っているような、線の太さの違いがあれば、シャチハタやゴム印を押されています。
回覧板の確認印なら、まあ、この程度が普通ですね。
第三に、外枠と文字が接している部分はありますか?
接している部分があるはんこは、セキュリティ性が高いと言われています。
口座開設やビジネスの契約に使う、「実印」は、接している部分のあるものが良いそうです。
第四に、もし可能なら、文字の字体を調べてみましょう。
あなたが今、この記事を読んでいるのと同じ字体か、そうでないか、がポイントです。
パソコンで簡単に打ち出せる字体は、偽造しやすいため、セキュリティ性が下がります。実印の高級なものは、職人さんが手書きした、オリジナルの字を彫っているんだそうです。
シャチハタは普段使い用
宅配便の受け取り以上の、ちょっと公的な書類では、「はんこはシャチハタ不可」と言われます。
上の印鑑チェックでも触れましたが、シャチハタやゴム印は、はんこを押すときの圧力で線の形が変わります。
押すごとに微妙に形が変わるのでは、きちんとした本人証明としては機能しません。
似てるけどちょっと違う、偽造はんこを押して、
「歪んじゃって、いつもとちょっと違って見えるけど、まあ気にしないで」
なんてことがまかり通ってはたまらないので、きちんとした書類は「シャチハタ不可」というわけです。
また、シャチハタもゴム印も、印を押す部分が柔らかい素材でできています。
何度も使う内に擦り減ったり、
インクの影響で変質したりしやすいので、はんこを買い替える頻度が高くなります。
新しいはんこを購入するとき、
ずっと使ってきたはんこと同じメーカー・同じモデル・同じ生産ラインの物を入手するのは、難しいですよね。
できるだけ同じものを探しても、必ず、以前とは違う印鑑になります(自分のはんこと全く同じ物がホイホイ買えてしまったら、セキリュティ性は最悪です!)。
もし、実印を買い替える場合、役場や銀行で変更手続きが必要になります。
そんな面倒なこと、できれば少ない回数で済ませたいですよね。
やっぱり、大事な書類に押す大事なはんこは、素材の良い実印を買うのが一番、というわけです。
はんこの種類について
ゴム印・シャチハタ以外のはんこには、大きく分けて、認印と実印の二種類があります。
認印は、やや普段使い寄りのはんこ。
実印を使うほどの重要書類ではない、履歴書などの「シャチハタ不可」の場合に押すものです。
認印は、実印よりも細く、持ち手に切り欠きがあります。
押印のとき、切り欠きが上に来るように持つと、印鑑の上下を正しく押せます。押し易さ重視です。
実印は、認印より太く、それに合わせて文字も大きめ。
口座開設、土地の取引など、重要な書類に押すためのものです。
役場や銀行で印鑑証明の手続きをして、初めて「本人証明」としての効力を持ちます。
実印は、認印のような切り欠きが無いことが多く、また、あえて衝撃に弱い石で作ることもあります。
「押すときは、契約書をよく読んで、慎重に」と、全身で叫ぶようなはんこです。
また、古い言葉で「三文判」と呼ぶはんこもあります。
シャチハタやゴム印のご先祖様のようなもので、普段使い用のはんこを指します。
量産品の安物で、認印や実印と区別しやすいよう、楕円形をしています。
まとめ
・はんこの質は印鑑の質、セキュリティ性の質に直結する。
・シャチハタは印鑑が歪むので、セキュリティ性が低い。
・実印は字体にも気を配った、セキリュティ性の高いもの。
・認印はシャチハタと実印の中間。押し易さ重視。