「新しく刷り上がった者用封筒に、社判押しといて!」
先輩から、こんなざっくりした指示を頂くこと、よくありますよね。
会社勤めをしていると、「社印」「社判」という言葉を耳にします。
似たような名前ですが、「社印」と「社判」には大きな違いがあります。
正確な呼び分け方、あなたは自信を持って言えますか?
社印とは
「社印」が指すはんこは、ただ一つ。
丸型で、印鑑の外枠ぐるりに、会社名を記したはんこのことです。
文字で外枠を作るはんこなんて、滅多にありませんから、見ればすぐに分かると思います。
社印は、法務局に法人登録する際に使うはんこ。銀行でお金をやり取りする時にも、使います。
個人用はんこで言うところの「実印」の役割で、大変重要なものです。
一般的に、社長や重役のみが社印を押す権限を持ち、平社員は触ることがありません。
社判とは
「社判」は、会社の業務で使うはんこ全般を指します。
後述する「角型の社判」のように、会社のサイン代わりに使う格式高いものや、「承認」「廃棄」などの定型文を彫ったもの、会社の住所や連絡先を彫ったものも、ひと括りに「社判」と呼びます。
格式高いものから便利グッズまで、幅広くカバーする「社判」。
もちろんはんこの形も様々、ゴム印やシャチハタも、業務用のものはみんな「社判」」です。
パソコンが普及する前は、書類作りの強い味方でした。
会話の中で「社判」というときは、会社それぞれに、一番よく使うはんこを指して「社判」と呼ぶことが多いようです。
代表的なのは、会社の住所を彫ったはんこです。けれど、間違いがあるといけませんから、きちんと「どのはんこか」を確認した方が良いですね。
「角型の社判」のこと
会社のサイン代わりに使われる、「角型の社判」。
言葉で説明するのが、ちょっと難しいのですが……。学校の卒業証書の、校長名の左下に押してある、朱色の正方形の印鑑を思い出して下さい。特長的な字体で、ぱっと見では読めないやつです。
あれの会社バージョンが、「角型の社判」です。
正方形のはんこは珍しいですし、その他の社判よりも格式高い雰囲気に作ってあるので、これも、見ればすぐに分かると思います。
社印のような、法的な力は無いものの、正式な会社のサインとして使われます。
お得意様へのお手紙に押したり、会社パンフレットに押したり、社内の表彰状に押したり……広報的な使い方が多いです。
その他、色々な社判
業種によって、色々な社判を使うことになります。
「会社」ではありませんが、税務署や年金事務所での、申請書を受け付ける業務では、定型文のはんこが大活躍。
「個人情報確認済み」「申請内容に事実との相違がない事を確認しました」と、結構長い定型文を、はんこひと押しで済ませています。
学校では、一昔前までは、成績表の数字をはんこでつけていました。
身体測定の結果表では、「要再検査」「視力検査(眼鏡使用)」なんてのも、はんこでしたね。
雑貨などを作る工場では、製品を詰めた段ボールに、色やサイズを示すはんこを押すことがあります。「Mサイズ」「赤」「子供用」などなど。配送や在庫管理をしやすくする工夫です。
配送業者との連携をスムーズにするために、「午前便」「後便」をはんこで押すのも、よく見られます。
農家さんは、「○」とだけ彫ったはんこを使うことが多いです。
いわゆる「みかん箱」のように、作物ごとに専用の段ボールで出荷しているのを、よく見かけますよね。
そういう段ボール箱には、野菜の品質「優・秀」、農協で定めた野菜のサイズ規格「S・M・L」がずらりとプリントされています。
農家さんは、品質とサイズを揃えた野菜を詰め、サイズ表の当てはまるところに「○」を押して、出荷します。
スーパーなど、野菜を仕入れる側は、段ボールに押された「○」を見て、「品質が秀でサイズがSなら、詰め放題にして売ろうかな」なんて考えながら仕入れるわけです。
チーズやベーコンの塊に、食用インクで生産工場の名前をスタンプするのも、社判の一種と言えます。
あれがあると、ちょっと美味しそうに見えますよね。
まとめ
・社印は、法人登録に使うはんこのみを指す。とても重要なはんこなので、社長や重役のみが社印を扱う。
・社判は、会社の業務で使うはんこ全般を指す。角型の格式高いものから、シャチハタまで様々。
・社判は、事務で使う定型文を彫ったもの、会社の住所を彫ったもの、記号や数字など、内容は様々。
・会社の住所を彫ったものを、特に「社判」と呼ぶことが多い。