今年小学校に入学した姪は、なぜか「それ、漢字でどうやって書く?」という質問が止まらないのです。
先日、我が家にお泊りに来てくれたので、「夏はやっぱりこわ~い話だよね!」と盛り上がろうとしたのに、「ちょっと待って。“こわい”って漢字でどう書くの?」と。そこですか!?
で、おばは一生懸命考えたのですが…「怖い」なの?「恐い」なの?なにか違うのか?という疑問に初めて至ったのでした。
「どうなの? ねー、教えてよ!」と言われ、その時は「怖い」で済ませましたが…あってただろうか? おばとして、間違いを教えてしまっていたとしたら恥ずかしいかも。
というわけで今回は、「怖い」と「恐い」の違いをわかりやすくまとめます!
「怖い」と「恐い」の意味の違い
「怖い」も「恐い」も、結果的にはよくないことが起こるとか、おばけやゾンビが出ておそれおののく、不安とか、そういう意味ですよね。
この2つ、あまり深く考えないで適当に使ってる人が多いと思うんですが(ですよね?!)、実は意味というか、ニュアンスに違いがあるのです。
「怖い」は、主観的な「こわい」で、自分の感情を表現するのに使います。対して、「恐い」は、客観的な「こわい」、つまり誰もが「そう、こわいよね~!」というのを表現する時に使うのです。
この説明では、たぶんウチの姪は理解できないので、わかりやすい例えを挙げると…
①お隣のウチでは、すごく小さいおとなしいチワワを飼っています。
A:「お隣のワンちゃん、こわいよね~。」
B:「そお?」
→普通は、小さなおとなしいチワワは「かわいい」と思うはず。しかし、たぶん犬全般が好きではないのか、チワワとの間に良くない思い出があるのか…Aさんは「こわい」と思ってしまうのです。これは、主観的な「こわい」と言えるので…
「お隣のワンちゃん、怖いよね~。」と漢字を当てはめるのです。
②反対のお隣のウチでは、ものすごく大きくてごつい土佐犬を飼っています。
A:「反対のお隣のワンちゃんは、“こわい”って近所で有名だよね~。」
B:「そりゃそうだよ、土佐犬だもの。」
→一般的には、闘犬でもある“土佐犬”は、大きくて強そうな顔をしていて誰もが「こわい」と思うでしょう。これが客観的な「こわい」になるの…
「反対のお隣のワンちゃんは、“恐い”って近所で有名だよね~。」となるワケです。
こんな微妙な違いがあったなんて…おばはビックリです。
さらに「怖」と「恐」の漢字に違いがある?!
ちょっと気になって「怖」と「恐」の漢字そのものを調べてみました。すると、こんな違いが!
「怖い」を「こわい」と読むのは、常用漢字表の読みにしっかり入っている。
「恐い」を「こわい」と読むのは、常用漢字表の読みには入っていない。
ほー。どちらも常用漢字ではあるけれど、読みはそれぞれ常用に入っている入っていないっていうのがあるんですね。
それゆえに、新聞や雑誌などでは先に説明した主観・客観の言いに関係なく、皆無とは言いませんが「こわい」は「怖い」と表記されることが多いのです。「怖い」は漢検4級程度なのに、「恐い」は漢検準1級程度らしいですよ。すごい違いです。
ちなみに、「怖」の読みには、【ふ、こわ(い)、お(じける)、おそ(れる)】があります。「恐」は、【きょう、おそ(れる)、おそ(ろしい)、こわ(い)】があります。
英語でも「怖い」と「恐い」は区別する?
英語でも「怖い」「恐い」を表現する言葉はいろいろありますが、その中からピックアップしてみましょう。
「怖い」というのは、scaredが近いかと思います。
犬が怖いの!(すきじゃないの意味)→I am scared of dogs!
驚かさないでよ~!(直訳では“あなた、私を驚かせたわ!)→You scared me!
なんて言い方をよくします。
「恐い」の方がなかなかぴったり合うものが思い浮かばないのですが、しいて言うならterrifiedやhorrifiedかと思いますが、これらは主観的な感情を表すのにも使います。
見た目が恐いことは、awfulという形容詞が合うかも知れません。
全世界が恐いと感じた。(映画のキャッチコピー、全世界が泣いた。のノリですね)→The whole world is terrified.
あれは恐い地震だった。→That was an awful earthquake.
まとめ
「怖い」と「恐い」、あらためて違いを考えると興味深い言葉ですね。
まとめると…
- 「怖い」は主観的な「こわい」で、「恐い」は客観的な「こわい」
- つまり、「チワワ怖いよね。」(チワワはかわいいよ、普通…)と「土佐犬恐いよね。」(だいたい大きいし顔もね…)の違い
- 「怖い」という読みは常用漢字表の読みだが、「恐い」は常用漢字表外の読み
- 英語で「怖い」はscared、「恐い」はterrifiedやhorrified、awfulあたり
私が言った「夏はやっぱりこわい話だよね」のこわいは、客観的にこわいの意味なので「恐い」が正解だったような気がします。が、マスコミ的に常用漢字表外の読みは使わないよということで「怖い」にしたと、心の中で言い訳しました。