最近、仕事の関係や父の小間使いで文章を書く機会が増えました。パソコンでの文章作成なので、漢字が苦手な私でも余裕だと思っていましたが…あたらためて、自分の漢字力のなさと日本語の難しさを痛感しています。
意味がだいたい同じだけど、実はちゃんと違いがあるやっかいな日本語って、意外に多いんですよね。今まで何気なく使っていましたが、気になりだすと止まらないのです。
最近だと、「関わる」と「係わる」とか「確認」と「査収」、「怖い」と「恐い」などなど。
そして今日は、「記入」と「記載」!どういう違いがあるのか、まとめてみます。
「記入」とは?
「記入」を辞書で調べると、
所定の箇所に指定された事項を書き入れること。
とか
所定の用紙などに書き入れること。
とあります。
そういえば、
- アンケートに記入する。
- 郵便局で送り状に名前や住所を記入する。
- 必要事項を記入し、お送りください。
- 今回のテストは、マークシートに記入してもらいます。
とかいう文章を目にしますね。
あらかじめ何かしらの指定の用紙やフォーマットがあって、そこの空欄を埋めていくイメージです。
記入は、マークシートや選択方式など、その様式によって、かならずしも文字を書き入れるとは限りません。
「記載」とは?
今度は「記載」を調べてみると、
書類などに必要な事柄を書き記すこと。
とか
書類・書物などに書いて記すこと。
とあります。
「記入」との違いがちょっと分かりにくいですが、“書類”や“書物”となんだか硬い印象の意味になっています。
- 取扱説明書に記載されているトラブルシューティングに従って、操作してください。
- 先日の議題と同じようなことが、新聞のトピックに記載されていました。
- この内部文章には、様々な企業秘密が記載されているので、持ち出し禁止です。
- 履歴書の虚偽記載は、重大な結果を招きかねないので注意しましょう。
なんていう例文があります。
もう少しわかりやすい具体的な意味の説明がないかと思ったら、百科事典にお堅いですが、なるほど!と思う解説がありました。
自然科学の分野で「記載」が定義つけられていて、
ある実在物について、その性質や状態を、ほかの意味にとられないよう、文字情報化すること。
とあります。
科学の分野では論文発表が重要な位置づけにあるので、こういう定義が存在するんでしょうね。
文字情報なので、「記載」はかならず文字です。
「記入」と「記載」の違いとは?
「記入」は、単に書き入れていくことを表現しています。
それに対して、「記載」は、登録したり、文章における記録としたり、後で他人が目にすることを前提に書き記すことを表現しています。
新聞や雑誌に「載る」の「載」だから、公共の目にさらされる機会が多いと覚えるのがいいかも知れません。
「記入」は文字でないこともありますが、「記載」は必ず文字なのも違いのひとつです。
「記載」の意味を深掘り
「記載」という言葉は、科学の分野での論文だけでなく、公文書、調書、裁判記録、臨床記録なども「記載されている」といいます。
これらはどれも、公式に発表される前に、第三者によるチェックを受けるなどの手続きを踏んでからでないと公表されません。
このように「記載」には、記された内容の厳密性や信頼性がかなり高いことを前提にしている場合もあるのです。
「記入ミス」はあっさり許してもらえそうですが、「記載ミス」は場合によってはかなり大変なことになりかねません。
「虚偽記入」とは言わずに「虚偽記載」とは言いところからも、その重要性の違いがうかがえますね。
まとめ
いかがでしたか?あらためて考えると、こんなに違う「記入」と「記載」なのです。
今まであまり考えずに使っていたので、私が記載したものには恥ずかしいものもあるかも知れません…。
まとめると、
- 「記入」は、所定の用紙に決まられた項目を書き入れていくこと。必ずしも文字とは限らない。(マークシートなど)
- 「記載」は、書類や書物などに必要な事柄を書き記すことで、あとから他人がめにすることを前提にしており、かならず文字である。
- 論文、公文書、裁判記録など、第三者のチェックを経て公表される、厳密性、信頼性が高い内容が書き記されているのを「記載」ということも。
同じ書く行為を表現する、似たような響きと字面の日本語なのに、こんなに意味が違うんですね。
他にも知らないで使っている、こういう日本語がありそうですね。気になったら、調べてみることが大切です。