人前であくびをすると、場合によっては不謹慎だったり、だらしない印象だったりになってしまいますよね。だからこそ、あくびをする時には手で覆う、TPOによっては、かみ殺してしまうのがエチケット。
でも、人間以外の動物、猿、猫や犬だって、あくびをします。ということは、あくびは必要だから出るんじゃないでしょうか?
出るからには、あくびにだって理由があるはず!
あくびの効果とは?
■脳の活性化
退屈な講義や難しい会議になると、眠気が湧いてきて、ついついあくびをしてしまったこと、またはあくびをなんとか我慢したことって、誰でもありますよね。これは、カラダが脳を活性化させようとしているんです。
あくびをすると口を大きく開けるので、アゴ周辺の筋肉から頭皮まで動いているのがわかりますよね。この時、蝶形骨という脳幹近くの骨が動いて、脳幹を刺激します。刺激で血液の流れがよくなり、脳の活動が活発になるという仕組みです。脳幹は自律神経の中枢でもあるので、体温も上昇。女性には嬉しい冷えの解消にもつながります。
また、あくびによって、大量の空気=酸素を体内に取り込み、それが血液によって脳に運ばれて活性化される効果もあります。
単純に眠さ、退屈さに対して出るのがあくびではなく、あくびをすることによって、こんな効果があるから出るんです。カナダの大学教授が、「あくびは天から与えられた覚せい剤であり、頭脳明晰剤である」と表現したそうですよ。講義や会議であくびをかみ殺している人を見かけたら、「いいんだよ、あくびしたほうが。」と声をかけてしまいたくなりますね。
■リラックス効果
状況によって、脳の活性化と反対の効果もあるんです。あくびをする時、状況が許されるのであれば、両手を上げて背中をそらして、のびのびとあくびをする人も少なくないはずです。
あくびは自然と深呼吸をし、同時にカラダ全体を伸ばすストレッチをしているんですね。そのストレッチの刺激が、脳の活性化でも紹介した、脳幹=自律神経の中枢への働きかけと同じメカニズムで効果をあげます。
人がリラックスするには、自律神経のうち、交感神経から副交感神経へスイッチされる状態をいいます。あくびの時のこのストレッチの動きが、神経のスイッチをよりスムーズにしてくれるのです。
今では、女性にも男性にも人気の代表的なエクササイズであるヨガ。ヨガでは、リラックスの為にあくびが呼吸法のひとつの重要な手法とされています。
本当に眠い時には勝手にあくびがでますが、寝つきが悪い時、わざとあくびをしてリラックスできたら、少しは早めに寝られるかも知れませんね。
■ドライアイ予防
ドライアイの予防には、防腐剤など添加物が入っていない天然の涙が一番です。でも、そうわかっていても、意識的に口を大きく開けても、涙は出ませんよね。あくびは、実は咀嚼筋や表情筋など、顔の筋肉全体を意識的にはできないほどフルに動かしている動作なので、涙を絞りだすほどの力がでるのです。
あくびをする時には、アゴを中心に顔全体の筋肉を大きく伸ばしたり縮めたりします。この時の顔の筋肉の動きが、涙腺や涙嚢が押し上げます。その結果、涙腺や涙嚢の中にたまっている涙がしぼりだされるのです。
ひどく目が乾いたかも…という時に、自由自在にあくびを出せるようになったら、ちょっとは症状の緩和が期待できますね!
あくびができない時の出し方
では、こんなに意外な効果があるあくび、自分でコントロールして出すにはどうしたらいいのでしょう?
■あくびのための準備運動
肩をぎゅっと上げたら、すとんと力を抜いて。数回繰り返しましょう。首もゆっくり数回まわします。筋肉の緊張をほどいていくイメージで。
■出し方①
口を大きく開けます。大きく息を吸いこみ、ゆっくりと吐き出します。これを5.6回繰り返します。
あくび、出ましたよね?
■出し方②
少し上を向いてください。軽く息を吐きます。ぽわーんと口を開いて、自分の耳と耳をつなげた直線がのどを横切るイメージを連想してみてください。なんだかのどの奥がムズムズしませんか? そのムズムズに意識を向けてみてください。
今度は出ましたよね、あくび?
■出し方③
ヨガの手法をご紹介。横になる場所が必要です。寝る前がちょうどいいかも。
ごろんと仰向けで横になり、リラックスします。ゆっくり両手をそろえて頭の上に、足のつま先を下にそろえておく。そして上にあげた両手と下の足のつま先を、誰かにひっぱられているようなイメージで、伸ばして、伸ばして、さらに伸ばして、もう一度伸ばしてください。ぴーんと突っ張った状態から、いきなり力を抜いて脱力してください。2、3回繰り返してください。
しっかりあくび出ましたか?
まとめ
最近、あくびがでない人が増えているそう。これは疲れがたまりすぎている証拠。たまには、自分であくびを出しましょう!
あくびの効果
■脳の活性化 ■リラックス効果 ■ドライアイ予防
あくびの出し方
- 口を大きく開ける。大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。6回繰り返す。
- 少し上を向く。軽く息を吐く。口を開いて、自分の耳と耳をつなげた直線を意識。のどの奥のムズムズを意識。
- 仰向けで横になる。両手をそろえて頭の上、つま先を下にそろえる。両手と下の足のつま先を目一杯伸ばす。突然、脱力。3回繰り返す。
どうせするなら、しっかりあくびをして、効果をあげましょう!